心の治癒と魂の覚醒

        

 震災で驚いたこと ③

 今回の震災では、日本や世界の人々のすばらしさに驚きましたが、それだけではなく、悪いことにも驚いたことがあります。
 それは、福島県から関東地方の避難所に逃げてきた子供が、学校で「放射能があるから近寄るな」とイジメを受け、ショックを受けてまた福島に帰ってしまったこと、また、福島県から来た人がホテルに行ったら、放射能に汚染されているから宿泊を断られたといったことです。ホテルとしては、放射能に汚染された人がホテルに泊まったら他の宿泊客が来なくなるだろうと怖れたのだと思いますが、そういうことをするから、かえって客が心配するのです。放射能よりも有害な影響を周囲にまき散らしているのです。なんとも情けない話です。子供の場合は、たぶん、親に責任があるのではないかと思います。
 かつて、エイズが流行したときも、同じことが起こりました。エイズ患者の宿泊をホテルが断ったのです。
 日本人は、あの大災害のときでも冷静に秩序正しく行動したということで、外国から称賛されましたが、そんな日本人が、なぜこのような馬鹿げたことをするのでしょうか。
 このようなケースは、全体からすれば例外であると信じたいものです。マスコミが例外を取り上げて騒ぎ立てているだけで、大部分の子供やホテルは、こんなことはしていないと信じたいものです。実際、そうなのだと思います。

 私が驚いたのは、「放射能があるから近寄るな、宿泊するな」ということ自体ではありません。
 冷静に調べれば、何の害もないのがあきらかなのに、それを確かめようとしないことに、あるいは確かめてもなお、(おそらくそれでも不安で)、ああいう行動をとってしまうことです。これは、福島や栃木の農産物が売れないのと同じ理由でしょう。
 差別や風評被害というものは、無知と恐怖によってもたらされるわけです。無知と恐怖こそが、人類最大の敵であると、私は思います。エイズが日本で流行したときには、エイズ患者と手をつなぐだけで感染するとか、そんなことまで心配している人がたくさんいました。いうまでもなく、手をつないでエイズに感染することなどありません。
 自らユダヤ人ということで差別や迫害に苦しみ、ナチス強制収容所の地獄を体験した精神科医フランクルは、強制収容所で他のユダヤ人をいじめるユダヤ人がいるかと思えば、ユダヤ人に親切にするナチス(ドイツ人)がいるのを見て、こういいました。
「結局、世の中には二種類の人間しかいない。品格のある人間と、品格のない人間である」
 今回の災害で、原発から遠く逃げた人もたくさんいましたが、救援のため現地に向かった人もたくさんいました。福島の農産物を避ける人もたくさんいましたが、福島の人たちを助けるために、積極的に福島の農産物を買い求める人もたくさんいました。
 最後の審判のとき、神は天国に行く者と地獄に行く者を分けるとキリスト教ではいっていますが、今回の災害は、なんとなく最後の審判を思わせるようなことが起こったような気がします。私は逃げた人や農産物を買わない人を卑怯者だなどと責めるつもりはありません。けれど、無知であるとは思います。無知は自分にも他者にも悲劇をもたらすので、克服しなければいけないと思います。
 覚醒の修行もまた、常に冷静になり、無知を克服していくことで成就されるのだと思います。ですから、いまこういう状況にある私たちは、ある意味ではとても恵まれた修行の機会を与えられているといえるのかもしれません。
 最後に、ひとつのエピソードをご紹介させていただきたいと思います。

 盤珪(ばんけい)という禅の高僧は、膿がしたたる癩(らい)病者を弟子に迎え入れ、その頭に自らカミソリを入れて髪を剃りました。すると、側近の者が不快な顔をしながら、手洗い水をくんできていいました。
「老師、どうぞ、その手をお洗いください」
 しかし盤珪は、次のようにいって、手を洗おうとはしませんでした。
「この癩病人よりも、そなたが不快そうに嫌う心の方がよほど汚いわい」
 癩病の乞食たちが寺にきたときも、他の雲水たちは嫌悪して近寄りませんでしたが、盤珪は自分の鉢に飯をもって食べさせてやりました。
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