心の治癒と魂の覚醒

        

 人生の目的をはっきりと自覚する ①

 
 人生を卒業、すなわち覚醒して解脱するためには、その根本において、ひとつの信念をしっかりと意識に定着させておく必要があると思います。
 それは、「地上に生まれてきたのは、学ぶ(成長する)ためであり、幸せになるため(快楽を得るため)ではない」ということです。
 この世でいう「幸せ」というのは、たいていの場合、「快感」にすぎません。快感の正体は、脳の中の麻薬のような分泌液が放出したときに感じるものにすぎません。要するに、それはきわめて原始的であり、動物的なものです。
 しかし、(本質的に霊的な)人間が持つべき幸せとは、快感ではありません。その本当の幸せは、自分が成長したとき、他者のために奉仕したときに得られるものです。

 かつて日本では「勝ち組と負け組」などという言葉が流行りました。最近はあまり耳にしなくなりましたが(それだけ成長したのだと思いますが)、要するに勝ち組というのは経済的に裕福になった人のことで、負け組というのはそうではない人のことです。
 もちろん、あまりにも貧しいのは悲惨ですが、ありあまるほど経済的に豊かになることが、どれほど幸せだというのでしょうか? おいしいものを食べたり、豪邸に住んだり高級車を乗って他の人から羨ましがられ、優越感に浸ることが幸せなのでしょうか? 高級腕時計や宝石を身につけたり、高級車に乗って「どうだ、俺は金持ちなんだぞ」と見せびらかして、いったいどこが楽しいのでしょうか? そういうものを買えない人は、羨望の気持ちでそれを見つめ、それを買えない自分を惨めに悲しく思うかもしれません。人の気持ちを悲しくさせて、いったいどこが嬉しいのでしょうか?
 もちろん、高級品を所有することが悪いと主張しているわけではありません。高級品が持つ品質やデザインなどが気に入って所有するのはいいと思います。しかし、他者を差別し自己優越感に浸るために所有することには問題があると思うのです。
 ある程度成長した魂であれば、高級品を所有して自己優越感に浸るような喜びは、もうとっくのむかしの過去生で卒業しているでしょう。そして今は、たとえ自分はおんぼろの軽自動車に乗っていても、人を助けることに喜びを感じるような人です。あるいはまた、そういう人にこそ尊敬の念を感じるような魂です。この喜びは脳内麻薬がもたらす快感ではありません。魂の振動によってもたらされる真の幸福です。
 私たちが地上に生まれてきた目的は、そういう幸福をつかみとるためであって、快感を得るためではないと思います。そして、そういう幸福というのは、自分が成長することによってつかむことができるのです。ですから、人生の目的は、成長することであり、この世の快感を得ることではないということになります。もちろん、快感そのものは善でも悪でもありませんから、もしそれがやってきたら、拒むことなく素直に享受すればいいと思います。しかし、快感を得ることを人生の目的としたとき、さまざまな問題や腐敗が生じることになるのです。

 まず第一に、快感を得ることが人生の目的だとすると、その快感が得られない場合、自分は人生の敗残者だという、あやまった価値観を抱いてしまい、意味のない絶望感や劣等感に陥ってしまうことがあるからです。「俺は負け組だ」とレッテルを貼り、社会からもレッテルを貼られてしまうわけです。
 しかし、たとえば、安月給で贅沢はできず、質素に生活するのがやっとではあるが、子供のために懸命に尽くし、すばらしい人材を世の中に送り出している教師はどうでしょうか? 安月給ということで、自分は価値がないと思い、あるいは世の中からもそう思われ、その人生は価値がないものとなってしまいかねません。しかし霊的に見るならば、ろくに仕事もしないのに天下って法外な報酬を得ている役人だとか、安い賃金で社員をこきつかい自分だけ高給を得ている社長などよりも、はるかに意味ある人生を送り、偉大な業績を人生で残していることはいうまでもないことです。霊的に見れば、たとえこの世的な快感は得られず、それこそ苦労の連続だったとしても、人間として成長し、また他者の幸せに貢献した人こそが、真の「勝ち組」なのです。いくら物質的に満たされ、快感を味わっても、成長もせず他者に貢献することもなかったなら、それは「負け組」だと思うのです。

 ところが、世の中は、金持ちだとか、地位や名声があるとか、有名だとか、そのようなもので人間の価値が計られるようなところがあります。そのため、そういうものを持たないと、いくら真面目に、また影ながらコツコツと世のため人のために貢献していても、まったく称賛されないし、それどころか馬鹿にされることもあるわけです。
 そうなると、いくら高潔な魂であっても、しだいに萎えてしまい、落胆してしまうことがあるかもしれません。せっかく霊的にすばらしい意味ある人生を歩んでいるというのに、地上世界の幼稚な価値観のために、そういうものが損なわれるとしたら、それは本当に残念でもったいないことだと思うのです。
 金持ちでもないし、地位や名声があるわけではなく、有名でもないが、常に自分を立派にさせるべく努力を重ね、真面目に誠実に生き、影ながら人のために貢献している人こそが、世の中でもっとも偉いのです。
 こんな当たり前のことをわざわざ口にするのさえ陳腐ですが、この当たり前のことが、社会では単なるタテマエとなっており、本当に認められているわけではないのです。
 ですからなおさら、この信念を、しっかりと持つことが大切だと思うのです。もちろん自惚れてもいけませんが、しかしこの信念をしっかりと持って、たとえ世の中の誰一人として自分を認めてくれる人がいなくても、自分だけは自分を認めるようにするのです。さもないと、まだまだ物質的な価値観が主流になっている今の人類のレベルでは、覚醒をめざして歩んでいるとき、ともすると気持ちが萎えてしまうことがあるからです。
 しかし、たとえ今は自分を認めてくれる人がいなくても、人類が進化を果たした未来世界には、あなたを称賛する人たちで溢れかえっているはずです。そして、深く感謝していることでしょう。なぜなら、勇気をもってそんな生き方を貫いてきた人のおかげで、人類は霊的に進化していったということを、未来の人たちはよくわかっているからです。
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コメント

 こんばんは、斉藤先生。次元上昇の時代をむかえて、人類はこういった個人的快楽に生きる人と、他者へ与える喜びを持つ人との篩い分けがなされているのかもしれません。

 利己的な人は今後さらに幸せを求めて貪欲にこの世をむさぼろうとし、善良なひとは他者と喜びを分かち合う世界を作り出そうと活躍するでしょう。その一つの例が今回の震災ではないでしょうか?

 学ぶ人と学ばないひととの差が大きくついてくるのが、アセンションなのかもしれませんね。かといって、学ぶ人は安心してはいけません。利己的な人を放っておいて、それみろと見下ろすような心境は本当には学んでいないのです。すべての人が教化されて、皆共に成長できる世の中にならなければ、学ぶ人にとってそれこそ「負け」なのではないでしょうか?

 かといって説教臭くなればいいのかといえばそうでもなく、自己の生長と他者の生長の足並みを合わせるバランス感覚を学ぶのが、修行者の次の段階だと思います。
2011-06-21 Tue 19:34 | URL | ワタナベ [ 編集 ]
斉藤啓一です。ワタナベさん、深くて有意義なコメント、どうもありがとうございました。
おっしゃるとおり、自分さえ成長すれば他者はどうでもいいというのは、これもある種の利己主義かもしれません。ともに成長をめざす姿勢が修行者のあるべき姿ですね。
今回も、学ばせていただきました。ありがとうございました。
2011-06-21 Tue 20:23 | URL | 斉藤啓一 [ 編集 ]
斉藤先生はじめまして。okuと申します。“人生を卒業、即ち覚醒して解脱するためには”という書き出しですが、自分の周りにはそんなことを考えている人間は全くいませんし、そういう世の中に押し流されてしまいそうです。でも“心の治癒と魂の覚醒”について、自分なりに今後も夢だけは持ち続けていきたいと思っております。ですからそういう志を同じくする人間同士、ある程度集結したほうがいいなどとも思うのです。今後ともどうぞよろしくお願いします。
2011-06-22 Wed 21:39 | URL | oku [ 編集 ]
斉藤啓一です。okuさん、コメント、ありがとうございました。
この時代、解脱だとか覚醒などというと、変人と思われたり、距離をおかれたりしてしまいがちですね。
だったら仏教のお坊さんや神父さんはどうだということになるのですが、社会的な肩書きがあれば、そうは見られないわけですね。
しかし、もともと釈迦などは、当時の社会的な宗教階層であるバラモン教の修行者ではなく、自由な身で修行する修行者だったのです。つまり、私たちのような存在だったのです。
いずれにしろ、私たちは社会の迷惑になるような怪しいことをしているわけでもなく、それどころか、人間としての理想を求めているわけですから、何も恥じることはないわけです。
ただ、おっしゃるように、社会は認めていませんから、このような場を通して、お互いに励まし合っていくことは大切なことだと思います。
これからも、よろしくお願い致します。
2011-06-22 Wed 21:52 | URL | 斉藤啓一 [ 編集 ]

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