自分より苦しんでいる人の存在を忘れない2012-10-01 Mon 14:23
先日、ホメオパシーという代替医療の学校が主催する学会が神田で行われ、そこに行ってきました。しかし、会場についたとき、携帯電話がないことに気づきました。どこでなくしたのかと考えたところ、上野駅で乗り換えたとき、座席に置き忘れてしまったに違いないと思いました。 あせりました。パニックになるほどではありませんでしたが、心穏やかではありませんでした。今は公衆電話も少なくなっており、携帯電話がないと人と連絡がとれずに困ったことになります。こんなときこそ平静の美徳を発揮して落ち着いていられなければならないのですが、まだまだ修行がたりません。仕方なく、神田の駅まで戻り、係りの人に事情を説明すると、上野駅に電話をしてくれて問い合わせてくれました。幸い、遺失物として保管されていることがわかり、また上野まで戻って携帯を引き取りにいきました。終点駅だったので、掃除の人が見つけてくれたようです。とにかく、携帯が無事に戻ってきて、ホッとしました。 そうして、また神田の会場に戻りました。 学会では、難病の子供を抱えたお母さんの症例が、映像として紹介されていました。生まれつき脳の障害を持ってうまく話せない子供、筋肉に問題があってうまく歩けない子供、いつ呼吸が止まって死んでしまうかわからない子供(そのためにお母さんは、子供が寝ているときでも“死んでいるのではないか“と心配して起こしたりしているそうです)などが紹介されていました。そうした子供たちがホメオパシーで癒されていく様子が公開されていたわけですが、そのような子供を抱えたお母さんの苦しみや悩みは、いかほどのものであろうかと、胸が痛みました。 それに対して、携帯電話をなくしたくらいで心を動揺させてしまった自分が恥ずかしくなりました。こうした難病を抱えた子供を持つお母さんにとっては、携帯電話をなくしたということなど、まったく取るに足らないものであるに違いありません。 人間はつい、自分だけに目が行ってしまい、ちょっとでも自分の気に入らないことが起こると自分を不幸だと考えてしまいがちですが、世の中を広く見渡すなら、自分よりもはるかに苦しみや不幸を背負って生きている人がたくさんいることがわかります。そのことを忘れてはいけないと思うのです。 このことは、誤解のないようにお断りしておけば、自分より可哀想な人を思って優越感に浸るという意味ではありません。そのようなことは愛のない間違った思いです。優越感ではなく、謙虚になるということです。不平不満をいうのではなく、与えられているものに感謝して、自分より辛い思いをしている人に何らかの力を貸してあげるという気持ちになることです。 恵まれていないもの、不運なことにだけ目を向けて悩んだり不満を抱いてばかりいることは、何の得にもなりませんし、かえって心の平安を失わせ、ますます自分を不幸にさせるだけです。それよりも、恵まれているもの、幸運なものに目を向けるようにして、そのことに感謝すべきではないかと思います。もちろん、それは現状に甘んじていればよいということではなく、「よりよい人生にしていこう」という向上心は持つべきですが、感謝と謙虚さを忘れてはならないと思うのです。 たとえば、大豪邸に住み、召使を20人もかかえ、高級車に乗ってリゾート地のホテルに行くような人が、最上級のスイートルームを予約できず、その次くらいの部屋に滞在することになり、そのことで半日もぶつぶつと不平不満、文句をぶつけ、「自分は何て不幸なんだ」などとつぶやいていたとしましょう。それを見たら、私たちはこっけいに思うというか、そんな人を傲慢に感じるはずです。また、ある種の醜悪さも感じられます。 しかし、相対的には、これと同じように、本当に悲惨な生活を送っている人が、私たちの抱くようなレベルの不平不満を見たとしたら、たぶん、傲慢に感じられるのではないかと思うのです。そんな私たちは醜悪になっているのではないかと思うわけです。 常に世の中を広く見渡し、自分など比較にならないほど辛く苦しい人生を生きている人のことを、私たちは決して忘れないようにして、自分に与えられているものに感謝し、謙虚な気持ちで人生を生きるべきではないかと、今回のことで、私は自分に言い聞かせることにしました。 スポンサーサイト
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コメント
「その程度のことでくよくよして」と映るんだろうなぁ。だから、それは他の人には言わずに生きてるけど、さらに「あいつは何を考えてるかわからん」的に映ってしまう。孤独の迷宮に陥ると、俗世間での覚醒が険しくなる。
2012-10-06 Sat 22:10 | URL | 根越 [ 編集 ]
斉藤啓一です。堀越さん、コメントありがとうございました。
2012-10-06 Sat 23:03 | URL | [ 編集 ]
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