減薬を決意する2015-12-29 Tue 11:35
先日、「胃腸風邪」というものに罹りました。ウイルスや細菌が胃腸に入り込むことで、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛に見舞われる症状が現れます。夜、突然ひどい寒気がしたかと思うと、吐き気と何回も繰り返す下痢に見舞われました。嘔吐や腹痛はありませんでしたが、吐き気がひどく、ベッドに横になっていられません。そのため、夜中じゅう、椅子に座っていました。結局、二日間、一睡もできず、何も食べられず、砂糖水をちびちび飲んで耐えていました。ネットで調べると、大人の場合、たいていは二日程度で治ると書いてあり、実際、二日でほとんど治りました。でも、二日間、さすがにきつかったです。
嘔吐や下痢に見舞われるのは、体内に入った毒を排出しようとするからだの治癒力の働きです。そこで私が迷ったのは、これまで飲み続けていた精神安定剤を飲むかどうかです。あれはある種の毒であるから、もし精神安定剤を飲んで吐き気や下痢がひどくなったらどうしようという恐怖心があり、飲まずに我慢していました。 しかし、まもなく禁断症状が現れて、吐き気の他に、何ともいえない胸苦しさ、不安パニックのような症状に見舞われました。それがもう耐えきれないほどになったので、おそるおそる、1錠(1mg)を4分の1に割って、それを服用しました。そうしたら、禁断症状がスーッと消えていきました。 これまでは、いっぺんに1錠とか2錠くらい飲んで、それでもあまり効かないことがあったのですが、このようなからだが敏感になっている状態のときというのは、たった4分の1の小さなかけらでも効くことに驚きました。言い方を変えれば、本当はいかにこの薬の毒性が強いものであるかということの証だと思います。私はこの薬を、多いときで一日に8錠から10錠も服用していました(規定量は一日1.5mg すなわち、1.5錠です)。 しかし、4分の1錠を飲んで楽になっても、30分もするとまた禁断症状が現れ苦しくなります。私は禁断症状が現れ苦しくなっても、30分は我慢してから飲むことにしました。そうして、禁断症状に対して脳を慣れさせるためです。私は真剣に減薬に取り組まなければならないと痛感しました。薬をやめない限り、うつは治らないと確信しました。 ネットなどを見ると、急に薬をやめて、その後三日間は地獄の苦しみを味わったといったことが書いてあったりします。しかし急に薬を止めることは危険だと思います。血液中に薬が入った状態に順応してしまった脳が、薬なしの状態に順応するまでには、それ相当の時間がかかります。地獄のような苦しみを味わって脳に負担をかけたり、その体験がトラウマになって、状態を悪化させることも考えられます。なので、薬は急にやめてはならず、長い時間をかけて徐々に減らしていかなければなりません。 私はとりあえず、1年後を目標に、少しずつ薬を減らしていく計画を立てました。ただし、決めるのは「上限」だけで、無理に飲むことはしないことにしました。そして禁断症状が現れても、30分は我慢することにしました。30分くらいの我慢は何とかできます。 すると、最初は6錠から二週間おきに半錠ずつ減らしていく計画でしたが、この「30分は我慢する」ようにしたところ、一日3、4錠くらいで平気になりました。それでも規定量の2倍以上を服用していることになりますが、思っていたほど減ったので嬉しく感じます。 ただ、やはり離脱症状のためか、気分的には以前よりひどく落ち込むようになった気がします。特に朝の落ち込みはどうしようもなくひどいです。 ところが、それでも何となく、表現は難しいのですが、「調子がいい」感じもするのです。何か、自分の生命力がよみがえっていくような、そんな感じがするのです。 離脱症状は、「病気の症状」ではありません。からだが本来の健康な状態に戻ろうと闘っている苦しみであり、基本的にはよいことなのです。つまり、「症状は悪化しているが、病状は改善している」ように感じられるのです。 胃腸風邪になったときは、うつの苦しみの他にこんな苦しみまでやってきて、私はどこまで苦しめられるのかと、思わず神を恨みたくなりましたが、この胃腸風邪がきっかけで、減薬を決意し、改善に向かって方向転換がなされたことは間違いありません。 そう考えると、胃腸風邪になったことは神の助けなのかもしれず、苦しみが解決のためのきっかけになることがあるとも考えられます。いわゆる「災い転じて福となす」というものですね。これは病気に限らず、人生の苦しみにもいえるのではないかと思います。不運だと思っていたことが、実は幸福へのチャンスだったりするわけです。なので、不運や苦しみが訪れても、あせらず希望をもってしばらくの間じっと心静かに耐えているという姿勢が大切なように思われます。 スポンサーサイト
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コメント
斎藤先生
減薬をはじめられたとのこと。私自身の経験から、いきなりやめずに、どうぞ少しずつ無理のないように減らしていってください。急激に量を減らすと、しんどくなることが多いようですので。来年もブログを楽しみにしております。どうぞよい年の瀬を。 2015-12-31 Thu 20:07 | URL | りっくん [ 編集 ]
斉藤啓一です。りっくんさん、コメントありがとうございます。はい。少しずつ無理のないペースで減薬していきます。りっくんさんもよい年末年始をお迎え下さい。
2015-12-31 Thu 20:13 | URL | 斉藤啓一 [ 編集 ]
斉藤先生へ あけましておめでとうございます。また、減薬おめでとうございます。ここ数ヶ月のブログを拝見しますと、少しずつ快方に向かわれているのがわかり、とても嬉しく思います。底は過ぎて、上昇されているのだと思います。どうか焦らず少しずつ前進していただきたく思います。心より御祈念申し上げます。
2016-01-01 Fri 00:56 | URL | ベンジャミン [ 編集 ]
斉藤啓一です。ベンジャミンさん、応援のコメント、ありがたく拝見いたしました。完治まではまだ先が長い気がしますが、少しずつ前進したいと思います。今年もよろしくお願いいたします。
2016-01-01 Fri 21:05 | URL | 斉藤啓一 [ 編集 ]
斉藤先生、あけましておめでとうございます。
私もデパスの禁断症状には苦しんだので、状態はわかります。 一番早い方法は、2週間ほど入院して禁断症状に耐えることです。 私もロヒプノールの依存になったときは、断薬して10日ほど入院しました。 この方法が悪いとは思いません。 なぜなら、アルコール依存で禁断症状が出たら、入院しかないからです。 しかし、入院費がかかります。 ですから、以前にも申しましたが、1回の量を0.5ミリ錠まで減らしたら デパスは粉薬があるので、0.5→0.4→0.3と減らします。 錠剤を割るより正確に減らせます。 私の経験では、1回の量が0.2ミリくらいになると、もう飲むのを忘れるようになります。 依存から抜け出したのです。 お医者さんと相談の上、頑張ってください。 先生のためにお祈りいたします。 2016-01-01 Fri 23:35 | URL | 両さん [ 編集 ]
斉藤啓一です。両さん、コメントありがとうございました。参考にさせていただきます。今年が両さんにとってよい一年となりますように!
2016-01-02 Sat 10:15 | URL | 斉藤啓一 [ 編集 ]
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