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心の治癒と魂の覚醒

        

私が占い師をやめた理由

 まずはご報告とお知らせから。
 今月10月17日/18日のイデア ライフ アカデミー瞑想教室は「密教の瞑想法」ということで、真言密教に伝わる「阿字観瞑想法」を紹介しました。なかなか面白くて効果的な瞑想法です。そのさわりをご紹介してありますので、興味のある方はご覧ください。また前半は「なぜ瞑想するのか?」という根本的なことを話させていただきました。
動画視聴
 来月は哲学教室で、日本における哲学者として最初ともいうべき西田幾多郎と、親鸞以後、おそらくもっともすぐれた念仏行者、山崎弁栄(やまざきべんねい)を取り上げます。今までは海外の哲学者や宗教者などを取り上げてきましたが、日本にもこんなにすぐれた人がいたのかということを、皆様にお伝えできればと思っております。ぜひ授業にいらしてみてください。
 参加ご希望の方は「斉藤啓一のホームページ」まで 

 では、本題にうつります。
 今から10年以上前、都内のある「占いの館」に所属して、週に一日、占い師をしていたことがあります。2年くらい続けたかと思いますが、結局、やめました。今回はそのやめた理由をお話しようと思います。
 そのお店に、人気ナンバーワンの女性占い師がいました。お客さんが行列をなしてひっきりなしに来るのです。私はその占い師と出演日が同じではなかったので、直接にお会いしたことはありませんでしたが、その占い師をよく知っている別の占い師から、その人気の秘密を教えてもらったことがあります。それには驚かされました。
 その女性占い師は、どんな相談や悩み事に対しても、すべて「うまくいきますよ」と答えるのだそうです。たとえば、「彼氏とうまくいくでしょうか?」と相談されると、一応、占ってみるのですが、その結果が「うまくいかない」と出ても、(そのことは相談者に知らせずに)、「うまくいきますよ!」と言うのだそうです。
 しかし、占いの結果の通り、彼氏とうまくいかなかった相談者は、また来てそのことを占い師に告げます。するとその占い師は「もう少し時間が立てばうまくいくようになりますよ」と言って、とにかく、相談者が喜ぶようなことしか言わないというのです。
 私は、これでは占い鑑定をする必要はないではないか、占い師でなくても、誰でもできるではないかと思いましたが、実際、占いをすることは、この女性占い師にとっては、ある種のパフォーマンスなのでしょう。最初から言うことは決まっているわけですから。

 こういう占い師(?)が、人気ナンバーワンなのかと思うと、そもそも占いの意味とは何なのだろうかと不思議に思いました。一生懸命に占いを勉強し、占いの技術を高めても、それがそのまま人気占い師になるわけではないのです。あからさまに言えば、人気占い師になるには、占いの技術よりも、いかにお客さんの心をとらえるか、その「話術」にあると言えるのかもしれません。
 そして、すべての人がそうだとは言いませんが、占い師に相談に来る人の多くは、当たるかどうかよりも、心の満足を求めて来ているように思われます。

 また、お客さんでこんな人がいました。女性なのですが、占い師の間で有名なのです。その女性は、ある男性が好きで、その男性とうまくいくかどうか、あらゆる占い師に訪ね歩いているのです。彼女のお財布の中を見た占い師の一人は、そこにたくさんの札束が入っていたと言っていました。その女性が私のところに来ました。鑑定してみると「この男性は他に好きな人がいて、残念ながらうまくいかない」と出たので、そのことを彼女に伝えました。以後、彼女が再び来ることはありませんでしたが、他の占い師さんたちから話を聞くと、その女性は他の多くの占い師のところにも来たらしいのです。しかし、鑑定結果は私と同じに出たので、そのことを告げたところ、二度と来なくなった、というのです。
 なぜ彼女は、同じことを何人もの占い師に言われているのに、他店も含めて多くの占い師のもとに行き、多大なお金を費やしているのかというと、「彼氏とうまくいく」と言ってくれる占い師を捜し求めていたようなのです。
 この話からもわかるように、結局、人は自分に都合のいいことを言ってくれるのを望んでいるのだなと感じました。だから、占いの鑑定結果を無視してまでも、お客さんのご機嫌を取ることを言う占い師に人気が出てくるのかと合点がいきました。

 私は占いだけを学んでいたわけではなく、さまざまな哲学や宗教も学んできた、というより、そちらの方がむしろ専門なので、「お客さんが本当に幸せになるにはどうすればいいだろう?」ということを考えて相談に応じてきました。
 しかし、哲学や宗教を学ぶとわかるのですが、人間が本当に幸せになるには、ほとんどの場合、苦しみの道を一度は通り抜けないと、そうはならないことが多いのです。たとえば、「彼氏とうまくいくか?」と尋ねられ、鑑定の結果、「うまくいく」と出ても、その彼氏と交際することは、この人の幸せのためにはよくないと思われるようなことも出てくるわけです。彼のことを忘れる苦しみを経た後に、もっと幸せな恋愛に恵まれるだろうと判断できることもあるのです。
 したがって、私は「彼とは付き合わない方がよい」と言うのですが、そんなことを言うと、たいていもうそのお客さんは二度と相談に来ません。
 ほとんどの人は、そんな遠い幸せなどよりも、とにかく目先の欲求をかなえたいのです。その気持ちもわからなくはないのですが、しかし、そのためにもっとすばらしい幸せを逃してしまったなら、何と残念なことでしょうか。

 この世の大半の人は「手っ取り早く幸せになりたい」のです。そのために、そのような欲望をくすぐる詐欺商法にだまされたり、「引き寄せの法則」などという、まるでハリーポッターの魔法の世界のようなことを、いい歳をした大人までが信じ込んで、その種の本やセミナーにお金をつぎ込んでいるわけです。
 手っ取り早く幸せになれる方法があるなら、とっくに過去の聖者たちが見つけているはずです。釈迦は、老いた身にムチ打ちながら苦労して教えなど説かなかったでしょうし、イエスなどは、はりつけにならなかったでしょう。
 本当の幸せに至る道は険しく苦しいものです。安易な欲望を満たすような道は、最終的には堕落とひどい苦しみが待っています。これが世の真理です。この真理をわかっていながら、ご機嫌を取ってまでお客さんに来てもらおうとすることは、罪であると思いました。かといって、そんな真理を語っても、ほとんど耳を傾けてもらえず、お客さんは来ないでしょう。
 だから、私は占い師をやめたのです。
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コメント

>人は自分に都合のいいことを言ってくれるのを望んでいるのだな・・・。手っ取り早い幸せ。

その傾向が強くなっていると感じています。だから、自分の気に食わない者に対しては牙をむく。そうして死ななくてもいい命が失われたりしている。人に対する観念が非常に危ういものになっていると感じます。

人の心を学べる教育があるべきだと強く思います。その為の学問の場、研究の場といったものの必要性は今後大きくなるのではと、悲しいですが、思います。

私もかつては占いを気にしていた者の一人でしたが、自分なりに心を学ぶことで占いにすら触れることがなくなりました。自分の人生は自分の中から築き上げるものであり、決して他人の力によって作られるものではないという基本的なことを自覚できるようになったからです。
2020-10-23 Fri 14:12 | URL | とおる [ 編集 ]
斉藤啓一です。とおる様、いつもコメントありがとうございます。確かに「人の心を学ぶ」教育は大切ですね。心理学だとか、そういうレベルではなく、もっと人の生きる基本となるような心を。しかし、今日もニュースで流れていましたが、教師が破廉恥なことをしているような現状では、それを学校教育で行うのは難しいでしょうね。困ったものです。
2020-10-23 Fri 18:59 | URL | [ 編集 ]

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