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心の治癒と魂の覚醒

        

推薦図書 『ヒマラヤ聖者の教え』

推薦図書 『ヒマラヤ聖者の教え』 
ジャスティン・オブライエン 著 伍原みかる 訳 徳間書店 2008年

 本書については、先日に少し触れましたが、あらためて推薦図書としてご紹介したいと思います。
 この本は、インド生まれのヨーガ行者で、1996年に没したスワミ・ラーマに教えを受け、ともにヨガの布教活動をしたアメリカ人男性が綴ったものです。
 スワミ・ラーマは、インド北部に生まれ、ヒマラヤの伝統的な修行場である洞窟の僧院で育てられ、ヨガの修行に励んだとされます。著者が描く彼の人物像は、優しく温厚で、ユーモアがあり、とても人間くさいものですが、テレパシー、読心術、何もないところから物品を現出させる、ヒーリング、テレポーテーションなど、多くの超能力のエピソードもたくさん紹介しており、580ページを超える大著でありながら、最後まで興味をもって読み進めることができます。
 スワミ・ラーマの業績は、アメリカにヨガを普及させたことでしょう。日本にも少し滞在したことがあるそうです。著者はそんな彼と長い間身近に接し、さまざまな体験や教えを受けました。本書において断片的に紹介されるスワミ・ラーマの教えは、まさに核心をついたものといえ、大変に参考になります。
 本書はいろいろなことを、私たちに示唆してくれる内容を持っていますが、単なるきれい事ばかりではなく、スワミ・ラーマが受けたさまざまな苦悩についても、よく書かれており、それが印象的です。
 彼が受けた苦悩の大半は、弟子や生徒たちによる「忘恩」でした。彼がアメリカに設立したヨガを教える組織は、やがて内部で醜い権力闘争や腐敗、分裂が生じてしまいます。そういうところまで、著者はしっかりと書いており、人間のエゴのやっかいな面を考えさせられます。霊性修行の場であるはずの世界にさえ、あからさまにエゴが顔を出し、組織の上部の地位を狙って争いが起こったり、物質的にも霊的にもスワミ・ラーマから多くの恩恵を受けた側近の弟子たちでさえ、「自分の欲求を(もっと)叶えてくれない」といった不満から、彼を悪くいったり、去っていってしまうのです。著者がこんな言葉を吐いています。
「ほとんどの人は人生の思いがけない贈り物(覚醒のための教えのことをさしている)など欲しくないのだ。むしろ自分にある制約と身近なことがらの中で、安全に暮らしていきたいだけなのだ。彼らは自分のエゴを増大させる真理しか信用しないのだ」
 それにしても、これほど卓越した能力と高い覚醒の境地、そして無私の愛ともいえる献身的な活動をした聖者が、つい最近まで世界に存在していたとは、今更ながら驚きを禁じ得ません。
 すぐれたグルに出会うことは宝くじに当たるよりも稀な貴重な幸運だというのに、そうした幸運に恵まれても、それを活かすことなく、エゴのためにみすみす捨ててしまっている人が少ないことを思うと、複雑な気持ちになってきます。
 エゴは、自分を変えようなどと欲していない。覚醒など欲していないのです。覚醒の道を求めて歩む者にとって、エゴこそが最大の障害だといえそうです。
 スワミ・ラーマを苦しめたのも、結局は、人々のエゴだったわけです。
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