心の治癒と魂の覚醒

        

 浄化と調律

 今回もまた、覚醒修行を円滑に進めるうえでも大切な「心の癒し」についてお話させていただきます。
 心のトラウマを癒すには、大きく分けて二つのアプローチがあります。ひとつは「浄化」で、もうひとつは「調律」です(この浄化と調律という言葉は、私が勝手につけたものです)。浄化とは、悲しみや怒りを表現して吐き出すことで、精神分析療法などが、この浄化(カタルシス)によって心を癒そうとするものです。
 もうひとつの調律とは、ある種の教育的な指導によって、歪んだ心を正常なものに戻そうとする試みです。非合理的な考え方を修正する認知療法などは、この調律によって心を癒そうとするものです。
 程度の軽いものなら、調律のアプローチだけで癒されるかもしれませんが、普通は、浄化と調律の両方が必要です。原則としては、まず浄化の作業を行い、次に調律の作業に移ります。
 さて、まずは浄化ですが、これは簡単そうでなかなか大変です。
 たとえば、親に虐待された人がいるとしましょう。すると、親に対する敵意や憎しみが抑圧されているのが普通です。怒りを抑圧しているとウツになったり、慢性疲労やその他、心因性の病気になりやすいのですが、トラウマを受けたときは普通、子供なので、大人になって親より腕力があるとしても、親に向かって怒りを吐き出すということが、怖くてできない場合が多いのです。親に文句や罵詈雑言を向けたい気持ちはあるのですが、それを言おうと思っても、喉もとまでは言葉が出るのですが、それから先は、まるで催眠術にかけられたように、声が出なくなったりします。
 それでも勇気を出して怒りをぶつけたりすると、ウツ病など劇的に回復することがあります。
 ところが、今度は別のやっかいな問題が生じる可能性があるのです。
 それは、「親に暴言を吐いてしまった」という罪の意識です。罪の意識は自己処罰の意識を生み出します(悪い人間は罰せられなければならないという信念があるため)。その自己処罰の意識のために、またウツ病がぶり返したり(ウツで苦しむことで自分を罰している)、その他、さまざまな問題が生じてきたりするのです。
 ただし、必ずそうなるというわけではありません。うまく浄化を行うことができたなら、多くの場合、とてもいい結果になります。
 さて、そこで、専門家の助けを借りずに、いかに浄化をするかですが、一番簡単で比較的効果があるのが、文章に書くことです。たとえば、親に手紙を書くのです。もちろん、その手紙は親には見せません。しかし、書くという行為によって抑圧されていた感情が意識化され、浄化が促されていきます。
 また、涙を流すことは、非常に効果的な浄化作用をもたらします。ですから、トラウマとなった過去の体験を思い出しながら、おおいに泣くといいでしょう。
 ただ、そうして過去を思い出して泣くということも、個人差はありますが、けっこう難しい場合があります。
 そういうときは、なんでもいいから涙を流すだけでも、効果があります。トラウマとなった体験に関する涙ではなくてもいいのです。悲しいドラマや音楽に接して涙を流してもいいのです。いえ、感動の涙でもかまいません。とにかく、涙を流すことによって、心のトラウマ全体が癒されていくことが多いのです。
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心の治癒 | コメント:2 | トラックバック:0 |
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コメント

こんにちは、斎藤先生。
虐待とまでいかなくとも、子供の頃にこっぴどく叱られた経験があると、親父に苦手意識をもったりします。そういったメンタルな部分があると修行の妨げになるわけですね。

男なら涙は流しづらいですね。どうしてもブロックがかかってしまいます。しかし、それこそ凝り固まったトラウマを浄化するために必要な儀式なのですね。

話は変わりますが、先週のリトリートで変化がありました。長いこと瞑想していると、突然、自分が今どこにいるのかわからなくなり、無限の闇の中ただ意識だけが浮いている感覚になりました。方向感覚など、全く消失してしまったのです。こういうことはよくある事なのでしょうか?
2010-10-13 Wed 16:48 | URL | ワタナベ [ 編集 ]
斉藤啓一です。コメント、ありがとうございました。
確かに、親にひどく叱られた経験があると、それも多少のトラウマになり、何らかの覚醒の妨げになるでしょうね。トラウマがない人などいませんから、みんなが少しずつ自分のトラウマを癒していく努力が必要なんだろうなと思います。
ところで、リトリートで大きな変化があったようですね。こういう状態はよくあることだとは思いません。深いレベルの意識に入れたのだと思います。これはやはり、リトリートのような修行をしてこそ得られるものだと思います。この調子でがんばってください。
2010-10-14 Thu 08:08 | URL | [ 編集 ]

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